令和4年2月2日
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
統合エネルギーシステムに関する世界初の国立研究所サミットへの参加
―原子力、再生可能エネルギーその他の低炭素技術を含むエネルギー分野の8つの国立研究所がCOP26の目標達成のために集結―
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(理事長:児玉敏雄)(以下「原子力機構」)は、1月26日(水)に開催された統合エネルギーシステム1)に関する世界初の国立研究所サミット”Global National Laboratories Energy Summit 22”に参加しました。本サミットはCOP26の議長国である英国の国立原子力研究所(NNL)が、COP26以降も低炭素化に向けたモメンタムを維持する観点から、関係国の原子力及び非原子力のエネルギー研究機関に呼び掛けることにより実現しました。原子力機構は、本サミットにて採択された声明に基づき、各国の研究機関との間で統合的なエネルギーシステムの検討に関する知見の共有等を進めていきます。
当日の動画を含む本サミットの詳細について、以下のNNLのサイトでご覧になれます。
https://www.nnl.co.uk/innovation-science-and-technology/collaborations/energy-summit-2022/
<背景>
カーボンニュートラリティの実現には、個々のクリーンエネルギーの開発、高度化にとどまらず、統合的なエネルギーシステムを検討するアプローチにより、エネルギーシステム全体としての最適化を図ることが重要です。例えば、原子力、再生可能エネルギーといった個々のエネルギー技術を組み合わせ、電力、熱、水素といったエネルギーの需要に応じて効率的・持続的に供給していく観点が重要となります。こうした観点から、主要国や国際機関において、原子力や再生可能エネルギーを含むエネルギーシステムのモデリング・シミュレーションに関する研究が行われています(別添1)。原子力には、安定的な電力供給と出力調整が可能な点、電力のみならず、熱、水素製造での利用可能性を有する点などにおいて、再生可能エネルギーを補完する役割が期待されています。
原子力機構は、高温ガス炉を利用した熱利用・水素製造に向けた取組みを進めるとともに、高速炉、高温ガス炉を含む原子力エネルギーと再生可能エネルギーを組み合わせたエネルギーシステムの概念検討にも着手しました。統合エネルギーシステムの検討には、原子力だけでなく、エネルギーコミュニティが総力を結集して対応する必要があり、非原子力分野の研究機関も参加する本イニシアティブに大きな意義があると考え、参加することにしました。
<サミットの概要>
NNL主催による本サミットには、カナダ、フランス、日本、英国、米国の8つの国立研究所を代表する幹部クラスが参加し、各機関での取組を述べるとともに、以下の分野におけるベストプラクティスを共有することを目的とした声明(別添2)を採択しました。
- エネルギー利用の方法における柔軟性の実現と準備
- 産業部門全体でのエネルギー需要の特定と最も効率的な方法でエネルギーを供給するための既存及び新規のインフラの最適化
- 将来の統合エネルギーシステムについての実証システムの概念あるいは最初に導入されるシステムに必要となる特定の技術的要素の成熟度の実証
<参加機関>
カナダ:カナダ原子力研究所(CNL)
フランス:原子力・代替エネルギー庁(CEA)
日本:原子力機構(JAEA)、日本エネルギー経済研究所(IEEJ)
英国:NNL、 エナジー・システムズ・カタパルト
米国:アイダホ国立研究所(INL)、国立再生可能エネルギー研究所(NREL)
<用語解説>
1) 統合エネルギーシステム
本サミットにおいて採択された声明においては、「信頼性が高く、持続可能性を有する、安価な低炭素エネルギー及び人々に便益をもたらすエネルギーサービスを提供するために、原子力や再生可能エネルギーのような低炭素エネルギー源を組み合わせることにより、それぞれの技術のベネフィットや運転モードを活用するもの」とされている。
別添1:統合エネルギーシステムに関する関係国や国際機関の活動
別添2:Statement of Intent on Collaboration in Integrated Energy Systems between